電気自動車は電気で走行するため、CO2を排出することなく、環境に優しい車として注目されています。
とはいえ、初めて電気自動車を購入する方は、“給油”から“充電”に移行することに戸惑いを感じてしまうかもしれません。
そこで今回は、販売台数が世界一となった、BYDの電気自動車の充電方法を紹介します。
自宅に充電設備を導入すべきかどうかも解説しますので、電気自動車の購入前に情報収集したい方は、最後までご覧ください。
目次
電気自動車の充電方法
そもそも、電気自動車(EV)には“普通充電”と“急速充電”の2種類の充電方法があります。
普通充電とは、車を使わない時間帯に、低い電圧で電流をゆっくりと流し、ある程度の時間をかけて充電する方法のことです。
フル充電にかかる時間は、10~20時間程度と長くなるものの、熱が発生しづらく、バッテリーへの負荷を減らせるのが利点です。
対して、急速充電とは、外出先などで時間がそれほどない場合に、高い電圧と大きな電流を使って、短時間で充電する方法のことを指します。
1回あたり30分~1時間程度と、普通充電よりも圧倒的に早く充電を済ませられますが、そのぶん熱が発生し、バッテリーにはあまり優しくありません。
電気自動車に乗る際は、利用するシーンや目的に合わせて、普通充電と急速充電を適切に使い分けることが大切です。
BYDの電気自動車も、普通充電と急速充電に対応しているため、以下で詳しく解説します。
BYDの電気自動車に対応している普通充電(AC充電)の概要
BYDの電気自動車では、2種類の普通充電を利用できます。
【BYDで用意されている普通充電(AC充電)の概要】
設備 | 充電能力 |
EV充電用コンセント | 3kW |
普通充電器 | 6kW |
BYDの電気自動車には、AC200V・3kWの普通充電ケーブルが標準装備されています。
そのため、EV充電用コンセントにつなぐだけで、手軽に充電することが可能です。
さらに、6kWの普通充電にも対応しており、こちらであれば、3kWの普通充電のおよそ2倍のスピードで充電できるので、待ち時間を減らせます。
帰宅後、夜に充電を開始してひと晩経つと、翌朝には充電が完了しており便利です。
なお、SUVタイプの『BYD ATTO3(以下、ATTO3)』と、コンパクトカータイプの『BYD DOLPHIN(以下、DOLPHIN)』のいずれも、2種類の普通充電に対応しています。
BYDの電気自動車に対応している急速充電(DC充電)の概要
BYDの電気自動車は、高速道路のサービスエリアやコンビニエンスストアなどに設置されている急速充電器を利用することができます。
以下の表に、対応している急速充電器の出力を車種ごとにまとめました。
【BYDの電気自動車が利用できる急速充電(DC充電)の概要】
車種 | 急速充電器の対応出力(上限) |
ATTO3 | 90kW |
DOLPHIN ロングレンジモデル | 85kW |
DOLPHIN スタンダードモデル | 65kW |
国内に設置されている急速充電器は、20~50kW程度のものが多く、どの車種であっても十分なパワーを得られます。
急速充電器は、利用するシーンの特性上、高速道路や道の駅など、目的地までの経由地に多く設置されています。
充電スポットの探し方については後述しますので、そちらをご覧ください。
BYDの電気自動車に対応している充電規格
BYDの電気自動車の充電規格は、日本に準拠した方式に対応しています。
普通充電では“J1772”、急速充電では“CHAdeMO(チャデモ)”という名称の規格が採用されており、ここでは、それぞれの特徴を簡単にお伝えします。
J1772
J1772は、アメリカの技術者団体であるSAE Internationalによって定められた、電気自動車の充電コネクターの標準規格です。
この規格に基づいてつくられたコネクターは、普通充電で使用され、日本やアメリカなどで広く採用されています。
CHAdeMO
CHAdeMOは、電気自動車の急速充電規格の一種です。
国内に設置されている急速充電器の規格は、ほとんどCHAdeMOなので、安心して利用することができます。
なお、CHAdeMOには、「CHArge de MOve =動くためのチャージ」「de=電気」「充電中にお茶でも」という3つの意味が含まれています。
BYDの電気自動車を充電する方法
BYDの電気自動車には、使用する設備の違いによって、3つの充電方法があります。
ここからは、それぞれの概要を紹介していきます。
家庭用コンセントからの普通充電
BYDの電気自動車は、家庭用のコンセントから充電することができます。
これは、普通充電にあたります。
付属品として車内に搭載されている充電ケーブルを使用して、自宅のコンセントから電気自動車に直接給電する方法です。
一般のコンセントで充電できる場合もあるものの、発熱・発火などの懸念から、EV充電用コンセントを設置することが推奨されています。
帰宅後、就寝しているあいだに電気自動車を充電できるので、ガソリン車のように、給油のためにガソリンスタンドまでわざわざ車を走らせる必要がなくなります。
ただし、充電ケーブルを出し入れする手間がかかるのと、充電ケーブルの盗難リスクがある点には注意が必要です。
スタンドタイプの充電器からの普通充電
BYDの電気自動車を充電する場合、スタンドタイプの普通充電器を使用する方法もあります。
専用のコネクターを電気自動車の充電口に差し込んで、充電を行うため、充電ケーブルは緊急用とし、普段は車内に収納しておきます。
普通充電器は、大型商業施設や宿泊施設の駐車場、道の駅などに設置されているほか、自宅に設置することも可能です。
自宅に充電設備があれば、電気自動車をこまめに充電できるだけでなく、充電スポットにおける順番待ちのストレスもなくせます。
急速充電器からの急速充電
急速充電器も、BYDの電気自動車を充電する方法の一つです。
普通充電器と同じように、専用のコネクターを電気自動車の充電口に接続して充電します。
急速充電器は、高速道路のサービスエリアやコンビニエンスストア、道の駅などに設置されているほか、普通充電器と併設されている場合もあります。
急速充電は、30分~1時間程度と、普通充電と比べてはるかに短い時間で充電が完了するため、旅行先などで急いでいるときに便利です。
一方、急速充電器の設置費用は数百万円程度と高額になるので、一般家庭への導入はあまり適していません。
なお、急速充電器を利用する際の支払い方法は、月・年会費を支払う“充電カード”か、スマートフォンやクレジットカードなどでのキャッシュレス決済となります。
充電カードがないと、ゲスト・ビジター利用となり、料金が充電カード利用時よりも割高になるためご注意ください。
BYDの電気自動車に乗る場合、自宅に充電設備は必要?
ここまでご覧いただき、「BYDの電気自動車の充電方法は理解したけど、電気自動車を購入したら、自宅に充電設備をつけないといけないのかな」と思われたかもしれません。
電気自動車の充電設備は、普通充電器、急速充電器ともに、大型商業施設やコンビニエンスストア、道の駅などに設置されています。
経済産業省の資料によると、2024年3月時点で、普通充電器が約3万口、急速充電器が約1万口設置されており、双方を合わせると、約4万口もの充電器が整備されているそうです。
ですから、「充電できる場所が全然ない……」と探し回る心配はなく、電気自動車を購入したからといって、必ず自宅に充電設備を設けなければならないということもありません。
とはいえ、自宅で電気自動車を充電できれば、利便性が向上するのは間違いないでしょう。
電気自動車に頻繁に乗る場合は、電気残量が気になったら、いつでも充電できるので安心です。
自宅に充電設備を設置するときは、急速充電ではなく、普通充電を採用するのが一般的です。
普通充電は、バッテリーへの負荷を減らして、車の性能を保つのに役立つともいわれています。
そのため、電気自動車にできるだけ長く乗りつづけたい方は、自宅に充電設備を設けることを検討するのも一つの手です。
自宅に充電設備を導入する際に必要な工事
自宅に電気自動車の充電設備を導入する場合、専門の施工業者に工事してもらう必要があります。
自宅に充電設備を取りつける際に必要な工事
専用ブレーカーの設置
配線の敷設
充電機器の設置
自宅で電気自動車を充電するには、充電設備専用のブレーカーの設置が必須です。
電気自動車の充電で使用する電力によって、自宅のブレーカーが落ちてしまうのを防ぐためです。
また、ブレーカーのアンペア数や、夜間の電気使用量によっては、電気料金のプランを見直したほうがよいかもしれません。
充電設備を置く場所によっては、配管を設置したり配線を隠したりすることがあるので、配線の工事も必要です。
なお、自宅と車を停めている場所の距離が近い場合はEV充電用コンセント、距離が離れているならスタンドタイプの普通充電器が適しています。
配線の距離や、選んだ充電機器などによって費用は異なるため、まずは専門の施工業者に現地調査を依頼し、見積もりを出してもらったうえで、比較検討しましょう。
施工業者を選ぶ際は、充電設備の設置工事の実績が豊富かどうかを、公式ホームページなどで確認することをおすすめします。
【関連記事】
電気自動車の充電スポットの探し方
電気自動車を運転するのであれば、充電スポットの探し方を知っておくと、いざ「充電したい!」と思ったときに安心ですよね。
充電スポットは、次の方法で探すことが可能です。
電気自動車の充電スポットの主な探し方
カーナビ検索を利用する
Google Mapで検索する
EV充電エネチェンジを利用する
EVSmartで検索する
GoGoEVで検索する
『EV充電エネチェンジ』のアプリをスマートフォンにインストールしておくと、充電スポットを探せるだけでなく、充電終了後にキャッシュレス決済までも完了できます。
『EVSmart』や『GoGoEV』のサイトには、全国の電気自動車の充電スポットの最新情報が掲載されており、利用可能時間や設置されている数、口コミなども確認できて便利です。
上記のアプリや情報サイトを上手く利用して、充電スポットを賢く見つけましょう。
また、BYDでは全国の正規ディーラーに急速充電器の設置を進めておりますので、ぜひご利用ください。
BYDの電気自動車の充電料金
電気自動車に乗るなら、充電にかかる費用も気になるところです。
以下の表に、BYDの電気自動車の充電料金を車種ごとに整理しました。
なお、電気料金を“安めの自宅普通充電”と想定し、電気単価を15円/kWhで算出しています。
【BYDの電気自動車の充電料金】
車種 | 電費(km/kWh) | 充電料金(年間) |
ATTO3 | 8.3 | 1万9,922円 |
DOLPHIN ロングレンジモデル | 8.1 | 2万299円 |
DOLPHIN スタンダードモデル | 8.9 | 1万8,521円 |
BYDの電気自動車の充電料金は、車種によって変わります。
車種ごとに充電料金が変わるのは、ガソリン車でいう“燃費”が異なるためです。
電気自動車の場合、1kWhあたりの電気で走れる距離を“電費”とよび、電費が良いほど充電料金は安くなり、反対に電費が悪いと充電料金は高くなります。
BYDの電気自動車のなかでは、DOLPHIN スタンダードモデルの電費が良く、年間の充電料金がお得になることがわかります。
BYDの電気自動車の充電設備に関してよくある質問
ここからは、充電設備に関してよくある質問にお答えしていきます。
BYDの電気自動車の購入をご検討の際は、ぜひ参考になさってください。
Q1. 雨の日に充電してもよい?
A. 電気自動車は、雨や雪の日でも充電できます。
ただし、感電や漏電を防止し、安全に使用するためにいくつかの注意点を押さえておく必要があります。
雨や雪の日に充電する際の注意点
濡れた手で電源プラグを抜き差ししない
電源プラグや充電コネクターを濡らさない
使用していない充電ケーブルを屋外に放置しない
落雷や暴風、大雨などのおそれがある場合には充電を行わない
車両や充電設備周辺が浸水した場合は充電しない
万が一、電源プラグや充電コネクターが濡れてしまったときは、乾いた布などで拭き取りましょう。
また、充電中に雷の音が聞こえた場合は、車両や充電コネクターから速やかに離れて安全を確保してください。
Q2. エアコン用の200Vコンセントで充電できる?
A. エアコン用のコンセントは使用せず、必ずEV充電用コンセントを使ってください。
延長コードを使ってエアコン用の200Vコンセントから充電すると、異常な発熱や火災のほか、そもそも充電ができなくなるなど、トラブル発生の原因になる可能性があります。
Q3. 普通充電では、3kWと6kW対応の充電器のどちらがよい?
A. 電気自動車の普段の使い方によります。
100km程度の走行であれば、ATTO3の場合、3kWの普通充電器でも5時間程度でフル充電となるため、帰宅後、寝ているあいだに十分に充電できます。
反対に、電気自動車を毎日使用して、自宅で充電する時間が限られている場合は、出力の大きい6kWの普通充電器がおすすめです。
Q4. 夜間に充電すると電気料金は安くなる?
夜間の電気自動車の充電代が安くなるかどうかは、契約している電気料金のプランによって異なります。
多くの電気料金のプランでは、時間帯によらず料金は一律です。
これが、夜間(23時頃から翌朝7時頃)に対応した料金プランであれば、充電代が安くなる可能性があります。
ただし、夜間の電気料金が安いプランでは、そのぶん日中の料金が高く設定されている傾向にあり、かえってトータルの電気料金が高くなるかもしれません。
ライフスタイルに応じて、適切な電気料金のプランを選択することをおすすめします。
Q5. V2Lアダプターとは何ですか?
V2Lアダプターは、電気自動車のバッテリーに蓄えた電力を取り出し、電化製品に供給する仕組みです。
電気自動車を蓄電池として活用することによって、コーヒーメーカーや炊飯器、ホットプレートなど、さまざまな電化製品をアウトドアの際に使えます。
また、災害などによる停電時には、非常用電源としても活用可能です。
BYDでは、ATTO3とDOLPHINの両車種において、AC100V・最大1500Wの電力で電化製品を使用できるV2Lアダプターをオプションで用意しております。
BYDの電気自動車の充電方法には、普通充電と急速充電の2種類がある!
今回は、BYDの電気自動車の充電方法について概要や規格を紹介しました。
BYDの電気自動車は、AC200V・3kWの普通充電ケーブルを標準装備しており、6kWの普通充電も利用することが可能です。
また、急速充電も使用でき、車種によりますが65~90kWの高出力に対応しています。
BYDの電気自動車の充電規格は日本に準拠しており、普通充電では“J1772”、急速充電では“CHAdeMO”という名称の規格が採用されています。
自宅への充電設備の導入は必須ではないものの、設置すればより快適なカーライフを楽しめるでしょう。
BYD横浜中央店では、環境に配慮した電気自動車の販売を行っております。
充電に関するご質問にお答えし、試乗も承っておりますので、ぜひ一度ご来店ください。
また、BYD ATTO3の試乗レポート、BYD DOLPHINの試乗レポート、BYD SEALの試乗レポートも公開しておりますので、ぜひ参考にしてみてください!